見世物用に作られた電気椅子なのだ。 ただし威力は本物で、執行された者は確実にこうなる。部屋に立ち こめる、ジュール熱で焼け焦げた髪と肉の臭いが、鼻腔に充満する。 内臓もきっと、電流によって焼けただれて、酷い熱傷を起こしてい る。生きているのが不思議なぐらいだ。この電気椅子の電極配置その 他諸々が、心臓を直撃しないような電通路を作り出すようになってい るのかもしれない。 「ひォ……グ……オ、ゴェ……ガ……」 死にかけた委員長の小刻みな痙攣に合わせて、断続的に尿が滴り落 ちている。 便秘だったのか、それとも、通電刺激によって腸内の排泄物を無理 矢理すべて排出させられたのか……黒い塊と軟便の混ざった大量の糞 塊の山が湯気を立て、腸内で熟成され発酵した糞便臭を、全方位的に まき散らしている。 すごい臭いだ。吐きそうだ。 その鼻の曲がりそうな悪臭を放つうず高く積もった糞便の山を、大 量の失禁小水が溶かし、鋭いアンモニア臭と濃い硫化水素の腐卵臭 が、焼け焦げる臭いと混ざり合う。 人体の焼ける臭いが、糞尿の臭いと混ざり合って、俺の胃がひくっ ひくっと痙攣している。胃酸が込みあげ、口の中に酸っぱい味が広が る。 「はぁっ……」 目をそらすことができない。全身が熱い。背中にじっとりと脂汗を かいているのがわかる。委員長は生きたまま灼かれたんだ。ただ、こ のゲームをしたくないと言っただけで。ゲームから【除外】されたん だ。こんな残酷で無情な方法で。 きちんと磨かれていた革靴も、染み一つない真っ白な靴下も、糞便 と尿まみれになり、きちんと撫でつけられた髪も、見る影もなく乱れ 果て、前髪のほつれ毛が秀でた額に貼り付いている。通電による損傷 は、見た目よりも深刻な場合が多いと聞く。この皮膚の奥で、内臓が 焼けただれ、随意筋と血管が損傷し、心臓が不整脈を弱々しく打ちな がら終わりを待って──。 突然、背後から抱きしめられた。心臓が跳ねあがる。体が硬直す る。思考だけがめまぐるしく巡る。 何だ……っ! いや、誰だ……!? なんでこんな……全く気配がし なかったぞ!? 叶? いや、違う。蒔羽か? それも違う。先生でも ない。ならば、あとは──。 「……ふふっ」 背後から俺を抱きしめる相手が誰か、わかった。 (真中さん!?) 信じられなかった。大量の疑問符が、俺の頭の中を飛び回る。 全部翻译成中文
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